ファインダーをのぞいて、ピントを合わせるとき、ピントの前後にどの程度ピントがくるのか?これは、ボカして撮影したいときや、全体にピントがくるように撮影したいときなど、キチンと調整する必要があります。
被写界深度とは
被写界深度(ひしゃかいしんど)とはピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のことをいいます。
参考 被写界深度出典:ニコンホームページ
例えば、こんなかんじでフィギュアをレイアウトして、真ん中のフィギュアにピントを合わせたとき、前後がどのように見えるかというのを見てみることにしましょう。
被写界深度の要素
まず、被写界深度はF値で決まります。F値の数列を覚える必要はありませんが、数値が小さいほど被写界深度は浅くなり、ピントの前後はボケることになります。F値を大きくするほど、被写界深度は深くなり、ピントの前後にもピントがくるようになります。
F値とは絞り羽根が作る穴の大きさを表す単位のことでした。
設定を知ろう|デジタル一眼レフカメラの使い方絞りは絞り羽根によって、カメラに入る光の量をコントロールする役割を担っていますが、絞りにはもうひとつ役割があり、ピントの合う範囲がどのくらいなのかを決める役割があります。
F値以外の被写界深度の要素
それ以外の要素として、レンズの焦点距離が長くなるほど、被写界深度は浅くなり、レンズの焦点距離が短くなるほど、被写界深度は深くなります。また、カメラで被写体に近づくと、被写界深度は浅くなり、被写体から遠ざかると被写界深度が深くなります。
望遠レンズの使い方このことは望遠レンズの使い方という記事でもご紹介したとおり、ボケを作る理屈で望遠端を利用することにより、手前の金網が消えて気にならなくなるのと同じアイディアです。
F値を変えてみる
クリップオンストロボを使っていないため、ちょっと暗い写真になってしまいましたが、個別に見てみましょう。今回はF3、F4.5、F8、F11の4種類を撮影してみました。
まずF3↓↓↓
とたけけだけにピントがきており、たぬきちとドロイドくんはかなりボケちゃってますね。
F4.5↓↓↓
F3のときよりはたぬきちやドロイドくんがハッキリ写っていますが、それでも全体としてはまだボケたかんじの写真になっています。
F8↓↓↓
だいぶ全体的にピントがきたかんじでしょうか?たぬきちが少しボケているでしょうか?
F11↓↓↓
全体にピントがきているかんじですね。
今回の撮影ではカメラの被写体の距離が近いのと、レンズもニコンの40mmマイクロレンズを使っているため、全体的に被写界深度が深めになっており、前後のボケ効果が薄いかんじの写真ですが、望遠レンズを使うと、さらに大きなボケの効果を得ることができます。
適切なF値は?
では、実際の撮影で、F値はどれくらいに設定すればいいのか?ということですが、ワタシの感覚ではF8くらいがいいのではないかと考えます。ワタシがふだん撮影するときには、F8を基準にしていることが多く、また、いろいろな方が撮影された写真を拝見しても、F8くらいで撮影されている写真をよく見かけます。このあたりはワタシの感覚的なもので、知識もないため物理的に証明できないのですが、F8くらいで撮影すると、全体的にピントがきた写真になっていることが多いような気がします。もちろん、ボカしたいときにはF値を小さくしたり、被写体によったりということはするのですが、全体にピントがほしいときにはやはりF8を基準に何枚か撮影してみて様子を見たりしています。
回折現象に注意
手前から奥までピントがほしいのなら思いきってレンズの限界まで絞っちゃえばいいんじゃないの?と考えられる方もいらっしゃるかと思います。その考え方はとても正しいとワタシは思っていますが、光の回折という現象があり、絞りすぎると、細部がボケた写真になることがあります。これはセンサーサイズが小さいカメラでとくに顕著に表れるようですが、絞りすぎには注意が必要です。
参考 小絞りボケ出典:Wikipedia
また、絞るということは光の通り道が小さくなるということなので、写真が暗くなったり、シャッターが遅くなったりする原因となりますので、やはり、そのあたりも考慮に入れた上でF値を決める必要がありますね。
まとめ
ちょっとワタシの感覚的な話になってしまい大変恐縮ですが、F8を基準に撮影し、ボカしたいときはF値を小さくすると失敗も少なく撮影することができるのではないかと思います。玉ボケを作りたいとかいう場合は、F値を小さくして撮影するのもポイントですが、玉ボケの要素となる光源をいかに写すかというのもポイントとなりますので、F値が小さいからいいということでもありません。このあたりは経験がものをいうところでもありますので、みなさまもぜひ、試行錯誤しながら、適正な被写界深度を探してみてください。